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オリバー・ケル — プライスアクション・サイクル6段階

Oliver Kell · 2020年の米国投資チャンピオンシップ(U.S. Investing Championship)株式部門で優勝。著書『Victory in Stock Trading』とインタビューで手法を公開。

作成 2026.07.08

プライスアクション・トレンドフォロークリプト適合度 · 中程度✓ 検証済み

オリバー・ケルが2020年の米国投資チャンピオンシップで公開したのは、「いつ買え」というエントリーのタイミングではなく、トレンドの一生を6つの局面に分けて今どこにいるかを見極め、間違ったときに降りる座標を先に書いておく規律です。EMAは買い・売りの信号ではなく、価格がトレンドからどれだけ離れているかを測る物差し(尺)として使われます。以下は、彼が公開の場で記録・説明した手法の構造を教育目的で分解したもので、個別銘柄へのエントリー指示ではなく、「自分のセットアップがどの局面にあるのかを自分で見極める枠組み」としてのみ読んでください。

📌 3行まとめ
  • EMA(10・20)は買い・売りの信号ではなく、価格がトレンドからどれだけ離れているかを測る物差し(尺)です。
  • リバーサル・エクステンション → ウェッジ・ポップ → EMAクロスバック → ベース・アンド・ブレイク → イグゾースション・エクステンション → ウェッジ・ドロップの6局面のうち、今がどこかをまず分類します。
  • エントリー候補はEMAを取り戻す低乖離の位置だけであり、延伸区間の追撃は損失データが指し示した最大のミスです。
  • 最初は少量でエントリーし、フォロースルーを確認したうえでのみ増し玉し、無効化の座標はエントリー前に書いておきます。
📋 ルール要約
トレンドを6つの局面に分け、今どこにいるかをまず分類し、EMAを取り戻す低乖離の位置でのみエントリーし、無効化の座標をエントリー前に書いておきます。
判別日足に10・20 EMAを表示し、リバーサル・エクステンション・ウェッジ・ポップ・EMAクロスバック・ベース・アンド・ブレイク・イグゾースション・エクステンション・ウェッジ・ドロップの6局面のうち、今がどこかをまず分類します。前半3段階がエントリー候補の局面、後半2段階は手仕舞い・様子見の局面です。
エントリー押された価格がEMAを取り戻す低乖離の位置(ウェッジ・ポップの終値での定着・EMAクロスバックでの支持)でのみ候補が成立します。取り戻し・ブレイクは終値の定着と出来高の増加で確認する後追いの観測であり、曖昧なら一段階遅らせて見ます。
無効化買いの理由(ウェッジ・ポップの定着・EMAでの支持)が消えたら、理由を後付けせずに手仕舞います。終値ベースでEMAを下抜けたらトレーリングストップ。局面がイグゾースション・エクステンション・ウェッジ・ドロップに分類されれば、上昇シナリオ全体が無効です。
リスク・サイジング最初は少量(約15%)だけを浅い損切り(1〜2%)でエントリー → 翌日にフォロースルーが出れば約30%へ増し玉し、損切りをフォロースルーの安値まで引き上げます。ポジション数・総エクスポージャーは相場環境に連動させます(弱気・不透明なら1〜2銘柄・総エクスポージャー30%以下)。
時間軸原型は現物グロース株の日足、中期スイング(およそ2〜12週間)の保有枠です。トレンドが続く間は10・20 EMAをトレーリングの損切りラインとして使います。
限界サイクルの分類は後追い的なため、リアルタイムのチャート右端ではウェッジ・ポップとデッドキャットが同じ形に見え、ラベリングに裁量が入り込みます。
✓ 効く局面
方向がはっきりした上昇トレンドのグロース資産。押しと取り戻しが規則的に繰り返され、強気環境で保有を広げてもよい局面では、低乖離の取り戻しの位置が頻繁に現れます。
✕ 崩れる局面
方向感のないもみ合い相場でウェッジ・ポップの類が繰り返し失敗し、連続したダマシのブレイクで小さな損失が積み上がるとき。EMAから大きく離れた延伸区間を追いかけるとき。すでに消耗的延伸(イグゾースション・エクステンション)・ウェッジ・ドロップと分類された局面で上昇シナリオを強行するとき。ケル本人も2020年より前の数年間は損失でした。

① 見極め — 今サイクルのどこにいるか

ケルの出発点はエントリーではなく位置の見極めです。日足に10・20 EMAを表示しますが、この線を買い・売りの信号としては読みません。価格がこの基準線からどれだけ乖離しているか、EMAを支持として使っているか抵抗として使っているかを見て、トレンドの一生が今どの段階にあるかを読み取ります。EMAは信号ではなく、価格とトレンドの距離を測る物差し(尺)です。

— 10 EMA— 20 EMAReversal ExtensionWedge PopEMA CrossbackBase 'n BreakExhaustion ExtensionWedge Drop
プライスアクション・サイクルの6局面 — 前半3段階はエントリー候補、後半2段階は手仕舞い・様子見の区間です。
6局面の順序
  1. リバーサル・エクステンション — 底から急反発が出る初期の局面
  2. ウェッジ・ポップ — 押し・停滞のあと終値でEMAを取り戻す最初の強気信号(エントリー候補)
  3. EMAクロスバック — 取り戻したあとEMAへ押し戻して支持される2度目のエントリー候補
  4. ベース・アンド・ブレイク — 押しをこなしたあと新高値圏をブレイク(エントリー候補)
  5. イグゾースション・エクステンション — EMAから大きく離れた過熱・消耗の区間(様子見)
  6. ウェッジ・ドロップ — トレンドが崩れて手仕舞いへ移る局面(様子見)
💡 核心となる枠組み

局面の判定が先、売買はその次です。前半3段階を「入れる位置」、後半2段階を「手を引いて見守る位置」とラベリングして初めて、対応が始まります。

② エントリーの枠組み — 低乖離の取り戻しだけ

エントリー候補は、押された価格がEMAを取り戻す位置だけです。具体的には、ウェッジ・ポップの終値での定着、またはEMAクロスバックで支持される低乖離の区間です。損失の大半はそこから外れた場所、つまりEMAから3〜4%以上離れた延伸区間の追撃で発生する、というのが彼の損失データが指し示した最大のミスです。

ウェッジ・ポップ — 押し・停滞を経て終値でEMAを取り戻す、低乖離のエントリー候補の形。
⚠️ 延伸区間の追撃を排除する

EMAからすでに大きく離れた価格を後追いで追いかけるのは、損切り幅が広がって浅い損切りが不可能になる位置です。低乖離で損切りを浅く置ける場所でのみ候補とします。

確認の手順
  1. 取り戻し・ブレイクを終値の定着で確認します(ザラ場のヒゲではなく引け基準)。
  2. 出来高の増加が伴っているかを見ます。
  3. 曖昧なら一段階遅らせて見ます — 誤判のコストは、遅れて入るコストより大きいからです。
予測ではなく観測です。「取り戻した」という事実が終値で確認されたあとに、後追いで反応します。

③ リスク・サイジング — 少量エントリー後、確認して増し玉

最初から大きく入れません。まず少量(約15%)だけを、浅い損切り(1〜2%)が可能な低乖離の位置でエントリーし、翌日にフォロースルーが出れば約30%へ増し玉しながら、損切りをフォロースルーの安値まで引き上げます。スケールインは利益が先に確認されたあとだけに行います — 含み損のポジションに足すナンピンではありません。

フルポジ分割
利益を確認したあとにのみ増し玉し、損切りも一緒に引き上げる — 含み損の平均取得単価を下げること(ナンピン)とは逆方向です。
📊 エクスポージャーを環境に連動させる

ポジション数・総エクスポージャーを相場環境に合わせます。強気のときだけ6〜7銘柄まで広げ、弱気・不透明な区間では1〜2銘柄・総エクスポージャー30%以下へ守りを固めて減らします。

トレンドが続く間は、恣意的な目標価格を決めません。代わりに10・20 EMAをトレーリングの損切りラインとして使い、終値ベースでのEMA下抜けを手仕舞いのトリガーとします。

④ 無効化と限界

エントリーの前に無効化ポイントを先に書きます — ウェッジの安値、押しの安値、ベース上端への逆戻り、といった座標です。買いの理由が消えたら、新しい理由を後付けせずに降ります。損切りに触れるのは「間違った」ではなく「仮説が無効になった」という処理です。

⚠️ 無効化の条件

局面がイグゾースション・エクステンション・ウェッジ・ドロップに分類されれば、上昇シナリオ全体が無効です。ナンピンは戦略ではなく、見極めを拒む行為です。

限界もはっきりしています。第一に、原型は現物グロース株・日足・中期スイングの枠組みです。第二に、サイクルの分類は後追い的なため、リアルタイムのチャート右端ではウェッジ・ポップとデッドキャット、ベースと分散(ディストリビューション)の天井が同じ形に見え、ラベリングに裁量が入り込みます。第三に、手法そのものが強気トレンドを前提としており、もみ合い相場ではウェッジ・ポップの類が繰り返し失敗します。

📊 成績の記録についての注意

チャンピオンシップ優勝の記録は、2020年のグロース株の強気相場で集中・レバレッジが許された大会環境における特定個人の記録であり、独立した検証はなく、一般的な結果ではありません。ケル本人もその前の数年間は損失を出していました。参考にすべきはリターンの数字ではなく、「規律の構造」だけです。

⑤ 暗号資産(無期限先物)へ移すとき

この枠組みを暗号資産の無期限先物へ移植するには、いくつかを必ず再調整しなければなりません。まず何より、株式の10・20営業日の感覚は、24時間休まないコインにはそのまま成り立ちません — EMAの期間をそのまま当てはめず、時間軸を合わせ直す必要があります。

⚠️ レバレッジで低乖離の原則を打ち消さないこと

浅い損切りと低乖離の原則を高レバレッジで覆うと、原理が崩れます。EMAから離れた延伸区間を高いレバレッジで追いかければ、正常な押し戻しでも清算されることがあります。

再調整する項目
  1. EMAの期間:株式の営業日基準を、24時間動くコインに合わせて時間軸を再調整する。
  2. 終値の確認:週末・早朝の薄い流動性ではEMA下抜けのノイズが大きくなるため、終値で確認する価値がむしろ高まる。
  3. サイジング:15% → 30%のスケールインはノーレバレッジ基準なので、名目エクスポージャーに換算して総リスクを同一に保つ。
  4. 清算価格の計算:浅い損切りが清算価格より十分に内側へ来るよう、レバレッジを逆算する(レバレッジ・清算の項を参照)。
移しても変わらない核心は一つです — これは未来を当てる予測機ではなく、位置を見極めて無効化の座標を先に書くための道具です。
📊 損益比の例(勝率ではない)

1R=「間違ったときに失う金額」として先に固定します。たとえば口座の1%を1Rとし、エントリー価格と無効化の損切り(ウェッジ安値の下)までの距離を1Rに換算します。エントリー100、損切り98なら2%がそのまま1Rであり、ポジションサイズは「この距離で損失がちょうど1Rになるように」逆算します(延伸区間の追撃ならこの距離が広がり、同じ1Rに対してポジションが小さくなるため、自然にふるい落とされます)。その後、トレーリングで終値がEMAを下抜けずに106まで維持されれば、実現の区間はおよそ3R付近になります。この計算は利益を保証するものではなく「位置とサイズ」を決める手順であり、3Rは損益比の例にすぎず、目標価格を固定するものではありません。

📋 セルフチェック

よくある質問

オリバー・ケルの「プライスアクション・サイクル」とは、正確には何ですか?

トレンドをリバーサル・エクステンション・ウェッジ・ポップ・EMAクロスバック・ベース・アンド・ブレイク・イグゾースション・エクステンション・ウェッジ・ドロップの6局面に分け、今の価格がどの段階にあるかをまず見極める枠組みです。エントリーのタイミング指示ではなく、「位置の見極め+無効化の座標を先に書くこと」が核心であり、ここではその構造を教育目的で分解したものです。

ウェッジ・ポップとEMAクロスバックは、どう違うのですか?

どちらもEMAを取り戻す低乖離のエントリー候補である点は同じです。ウェッジ・ポップは押し・停滞のあと終値でEMAを初めて取り戻す初期の信号であり、EMAクロスバックはその後EMAへ押し戻して支持される2度目の位置です。ケルはクロスバックを、トレンドの入り口でポジションをより早く乗せられる位置として説明しました。

暗号資産の無期限先物にも、そのまま使えますか?

そのままでは危険です。原型は現物グロース株・日足の枠組みのため、10・20 EMAの営業日の感覚が24時間動くコインに合わず、浅い損切りを高レバレッジで覆うと、正常な押し戻しでも清算されることがあります。EMAの時間軸の再調整、名目エクスポージャーへの換算、損切りが清算価格より内側へ来るようレバレッジを逆算することが前提です。

チャンピオンシップ優勝の成績記録は、参考にしてもよいですか?

成績そのものを目標にしないでください。その記録は、2020年のグロース株の強気相場で集中・レバレッジが許された大会環境における特定個人の記録で、独立した検証はなく、ケル本人もその前の数年間は損失でした。参考にすべきはリターンの数字ではなく、局面の見極めと無効化の規律の構造です。

関連ドキュメント

ここに掲載したのは、各人物が公開して記録・説明した手法の構造を教育目的で分解したものです。売買の指示ではなく、過去・特定の市場・特定個人の事例であり一般的な結果ではありません。投資判断と損益はご自身の責任です。