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マーク・ミネルヴィニ — SEPA・VCPのピボット・ブレイクアウト

Mark Minervini · 1990年代〜現在(1997・2021年のU.S. Investing Championshipで2度優勝したことで知られる)

作成 2026.07.08

トレンドフォロー・プライスアクション(成長株モメンタム・ブレイクアウト)クリプト適合度 · 普通✓ 検証済み

マーク・ミネルヴィニは、自己資金で米国の成長株だけを取引し、米国投資選手権で二度優勝したことで知られるトレーダーです。彼が公開したSEPAフレームとVCP(ボラティリティ収縮パターン)は、「いつ買え」というタイミングの秘訣ではなく、トレンドがどの局面にあるかを判別し、セットアップが外れたときに撤退する座標を先に決めておく規律の集合です。本記事は、そのルールの構造を教育目的で分解します。成果や勝率を約束するものではなく、個別銘柄の買い指示でもありません。

📌 3行まとめ
  • SEPAは、精密なエントリーポイント(VCP)・業績(E)・プライスアクション(P)・カタリスト(A)を同じ方向に重ねて見るフレームです。
  • トレンドテンプレートの8条件でStage 2の上昇局面だけを候補として残し、条件が一つでも外れれば観察のみを続けます。
  • VCPは、各押し幅が直前よりも縮小し、出来高が細っていったのち、最後の収縮の高値(ピボット)を出来高を伴って突破する構造です。
  • ミネルヴィニ本人が、セットアップよりも「損切りの規律」を核心だと繰り返します — エントリー前に損切りを確定し、損切り幅を広げることは禁止です。
📋 ルール要約
Stage 2の上昇トレンドだけを候補として残し、ボラティリティが収縮して出来高が細ったVCPのピボットを、出来高の膨張を伴って突破する瞬間だけをエントリーのフレームとみなしますが、損切りの座標はエントリー前に先に確定します。
判別トレンドテンプレートの8条件(50・150・200日線のパーフェクトオーダー、200日線の右肩上がり、52週安値からの十分な乖離、高値への接近、RSランキング70以上)でStage 2の上昇だけを候補として残します。そのなかで、押し幅が2〜6回にわたって縮小し、最後の収縮で出来高が細るVCPを判別します。
エントリー最後の収縮の高値(ピボット)を出来高の膨張を伴って突破し、その上で終値が維持される「瞬間」だけをエントリーのフレームとして観測します。出来高を伴わない突破やピボット未達は観察の継続であり、突破は買い指示ではなく、セットアップの成立を確認する遅行的な条件です。
無効化ピボットの再割れ、最後の収縮の安値の崩壊、50日線の割り込み、またはStage 2の終了(Stage 4の下落への転換)のいずれか一つでも生じれば、セットアップは無効とみなします。エントリー前に確定した損切りラインに達したら即座にロスカットし、損切り幅は広げません。
リスク・サイジング損切りは通常、最後の収縮の安値のすぐ下に置き、最大でもエントリー価格に対して-7〜8%(低ボラティリティのセットアップほどよりタイトに)とします。1回の取引リスクを口座に対して約1.25〜2.5%に制限し、ポジションサイズは損切り幅から逆算します。
時間軸もともとは日足を基準とした米国成長株のスイング(数週間〜数か月)です。クリプトへ移植する際は、時間軸と「収縮」の基準をボラティリティで再調整する必要があります。
限界すでに形成されたパターンを読む遅行指標であるためダマシのブレイクアウトが多く、大半の取引が小さな損切りで終わるというのが、この手法の前提です。
✓ 効く局面
力強い先行上昇を伴う個別の成長資産のStage 2(上昇)局面で、押し幅が段階的に縮小し、最後の収縮で出来高が細るベース区間 — つまり売り物が消化され、方向性が整理される場面です。
✕ 崩れる局面
レンジ・下落(Stage 4)局面や、出来高を伴わないダマシのブレイクアウトが頻発する低流動性の区間では機能しなくなります。ピボットを突破しても切り返して再び割り込む失敗が続くと小さな損失が積み上がり、損切りの規律なしにセットアップだけを使うと、この手法の前提(小さな損切りを多数)が崩れます。

① 判別 — 局面・条件

ミネルヴィニの出発点は「何を買うか」ではなく「今は買う資格がある局面か」です。彼は株価サイクルを4つの局面(Stage 1の底固め → Stage 2の上昇 → Stage 3の天井 → Stage 4の下落)として捉え、Stage 2の上昇局面だけを候補として残します。このフィルターがトレンドテンプレートであり、8つの条件のうち一つでも外れれば、セットアップの候補から除外します。

トレンドテンプレートの8条件(観測フィルター)
  1. 現在値が50・150・200日移動平均線より上にある。
  2. 150日線が200日線より上にある。
  3. 200日線が少なくとも1か月以上、右肩上がりである。
  4. 50日線>150日線>200日線のパーフェクトオーダーになっている。
  5. 現在値が52週安値に対して少なくとも30%上にある。
  6. 現在値が52週高値の25%以内にある(新高値に近いほど好ましい)。
  7. 相対力(RS)ランキングが70以上である。
  8. 上記の並びが維持されているあいだだけ、次の段階(VCPの判別)へ進む。
— 10 EMA— 20 EMAReversal ExtensionWedge PopEMA CrossbackBase 'n BreakExhaustion ExtensionWedge Drop
価格サイクルの4局面。ミネルヴィニのセットアップは、Stage 2の上昇区間でのみ候補となります — 残りの局面は観察です。
📊 SEPAのE・A — セットアップと同じ方向か

テクニカルの条件(トレンドテンプレート)が揃っていても、ミネルヴィニは四半期業績・売上の加速(おおむね前年同期比20%以上)やマージンの拡大、新製品・業績サプライズといったカタリストが同じ方向を向いているかを併せて見ます。クリプトには業績がないため、この部分をオンチェーンの集積・ナラティブ・流動性の観測で代替して検討します — いずれも観測の根拠にすぎず、買いシグナルではありません。

② エントリーのフレーム(観測・遅行)

Stage 2のなかでミネルヴィニが待つ形が、VCP(ボラティリティ収縮パターン)です。力強い先行上昇のあと押しが2〜6回現れますが、各収縮の幅が直前よりも小さくなり(例:25% → 12% → 6%)、最後の収縮で出来高が細ります。これは、売り物が消化され「最も抵抗の少ない線(line of least resistance)」がつくられていく過程として読み取れます。

エントリーのフレームは、最後の収縮の高値、すなわちピボット出来高の膨張を伴って突破し、その上で終値が維持されるときにのみ成立します。出来高を伴わない突破や、ピボットに届かない反発は、エントリーではなく観察の区間です。突破は未来を当てるシグナルではなく、セットアップが成立したかどうかを事後に確認する遅行的な条件である、という点が核心です。

ベースで収縮が繰り返され、ピボットを出来高を伴って突破する構造。突破「以前」はすべて観察の区間です。
⚠️ ダマシのブレイクアウト(failed breakout)に注意

突破したのちに切り返し、ピボットを再び割り込めば失敗として扱います。出来高を伴わない突破、ピボット未達の反発、終値がピボットの上で維持されない場合は、セットアップの成立とはみなしません。曖昧なときは一拍遅れて見るほうが、誤判断のコストよりも安くつきます。

突破は買い指示ではなく、セットアップが成立したかどうかを確認する遅行的な条件です。

③ リスク・サイジング

ミネルヴィニが繰り返し強調するのは、セットアップではなく損切りの規律です。損切りラインはエントリー前に確定し、エントリー後に損切り幅を広げません。損切りの位置は通常、最後の収縮の安値のすぐ下であり、最大でもエントリー価格に対して-7〜8%程度(低ボラティリティのセットアップほどよりタイトに)です。

ポジションサイズの逆算
  1. まず損切りの座標を決めます — 最後の収縮の安値の下、または-7〜8%のうち、より近いほうです。
  2. 1回の取引で受け入れる口座リスクを決めます — およそ資本の1.25〜2.5%です。
  3. ポジションサイズ = 受け入れるリスク額 ÷ 損切り幅。損切りが広ければ、サイズは自動的に小さくなります。
  4. 市場の局面が損なわれれば、現金の比率を高め、新規のエクスポージャーを守りの姿勢で減らします。
大きいポジション小さいポジション狭い損切り広い損切り
損切り幅からポジションサイズを逆算 — 損切りが広いほど、サイズは小さくなります。リスク(口座に対する%)は定数として固定します。
💡 ピラミッディングは勝っているポジションだけに

利益が確認できたポジションにだけ分割して積み増し、含み損のポジションへのナンピン(平均取得単価の引き下げ)は原則として禁止です。「小さく頻繁に負け、大きく勝つ」 — 勝率ではなく損益比(期待値)を中心とした運用です。

④ 無効化と限界

セットアップは、次のいずれか一つでも生じれば無効とみなします — ピボットの再割れ最後の収縮の安値の崩壊50日線の割り込み、またはStage 2の終了(Stage 4の下落への転換)です。エントリー前に確定した損切りラインに達したら、理由をつけずに即座にロスカットし、損切り幅を広げないことが、ルールの骨格です。

⚠️ この手法の限界 — 必ず併せてお読みください

① VCPはすでに形成されたパターンを読む遅行指標であるためダマシのブレイクアウトが多く、実際に大半の取引が小さな損切りで終わるというのが、この手法の前提です。② トレンドテンプレートの移動平均線・RS・52週高値安値は、取引時間が限られた株式・日足・長期トレンドを前提に設計されています。③ ミネルヴィニ本人が「セットアップよりも損切りの規律が核心」だと繰り返しますが、裏を返せば、規律なしにはセットアップだけで成果は出ないという意味です。④ 選手権での成績は特定の市場・特定のトレーダーの過去の結果であり、再現や利益を保証するものではありません。

要するに本記事は、勝率や将来の価格を主張するものではありません。ミネルヴィニが公に記録・説明した手法の構造を教育目的で分解しただけであり、個別銘柄の買い指示ではありません。

⑤ クリプト(無期限先物)へ移すとき

この手法は本来、現物・低レバレッジのスイングに最も適しています。高レバレッジの無期限先物へそのまま移すと、-7〜8%の損切りラインがロスカット価格より外側に広がり、ルールが実行される前に口座がロスカットされてしまう場合があります。

⚠️ ロスカット価格が損切りより先に来るとルールが崩れる

レバレッジを下げ、口座に対する名目リスク(約1.25〜2.5%)に換算してポジションを逆算する必要があります。損切りの座標がロスカット価格より十分に内側に来るようにレバレッジを決めることが、構造の判定よりも先です。

クリプトへ移植する際の再調整4つ
  1. タイムフレーム — 24時間・週末も続く連続市場なので、日足/4時間足の終値を基準に突破を再定義します。
  2. 収縮の定義 — カレンダー上の期間ではなく、ボラティリティ(ATR・日中レンジ)の縮小でVCPの「収縮」を定義し直します。
  3. ファンダメンタルズの代替 — RS・52週高値安値のデータが乏しいため、SEPAの業績パートを、資金調達率・未決済建玉(OI)・オンチェーンの集積/分散の観測で代替して検討します。
  4. 保有コスト — トレンドを最後まで乗せると長期の資金調達率が発生するため、期待値に併せて反映します。
Wallet取引所Deposit = potential sellWithdrawal = holding
クリプトには業績がないため、SEPAのファンダメンタルズの部分を、オンチェーンのネットフロー・集積/分散の観測で代替して検討します。

どのような変形も利益の保証ではなく、小さな損失を減らそうとする試みにすぎず、クリプトにおいてもこの手法は個別のエントリー指示ではなく、観測・教育のフレームとしてのみ用います。

📊 損益比の例(勝率ではない)

たとえば、ある資産がトレンドテンプレートを通過し、VCPのピボットが100(仮の単位)だとします。最後の収縮の安値の下、92に損切りを置くと、エントリー(100)- 損切り(92)= 8が1Rです。口座が1,000万円で、1回のリスクを1.5%(15万円)とすると、ポジションサイズ = 15万円 ÷ 8 = 資産およそ1.875万単位の規模として逆算されます。目標を3R(ピボット + 24、すなわち124付近)に置くと、損益比は1対3です。この計算は「利益が出る」という意味ではなく、どこで間違いだったと認めるか(1R)と、どれだけ乗せるか(サイズ)を先に決める手順にすぎず、実際には多くの取引が-1Rの損切りで終わるというのが、この手法の前提です。

📋 セルフチェック

よくある質問

ミネルヴィニ手法の核心はVCPパターンですか?

ミネルヴィニ本人は、セットアップ(VCP)よりも「エントリー前の損切り確定と、損切り幅を広げない」といったリスクの規律を核心だと繰り返します。VCPは遅行的なパターンであるためダマシのブレイクアウトが多く、大半の取引が小さな損切りで終わるというのが、この手法の前提です。つまり、規律なしにパターンだけでは成果は出ません。

VCPにおける「ピボット」は正確にどこですか?

最後(最も小さい)収縮の高値です。この地点を出来高の膨張を伴って突破し、その上で終値が維持されるときにのみ、セットアップが成立したとみなします。切り返してピボットを再び割り込めば、ダマシのブレイクアウトとして扱います。

この手法をクリプトの無期限先物にそのまま使ってもよいですか?

推奨されません。-7〜8%の損切りは高レバレッジではロスカット価格より外側に広がり、ルールが実行される前にロスカットされてしまう場合があります。レバレッジを下げ、口座に対する名目リスクに換算し、収縮の定義をボラティリティ(ATR)の縮小に、ファンダメンタルズをオンチェーン・資金調達率/OIの観測に再調整する必要があります。それでも利益の保証ではなく、小さな損失を減らそうとする試みにすぎません。

トレンドテンプレートの条件を一部だけ満たせば、エントリーしてよいですか?

ミネルヴィニのルールでは、8つの条件のうち一つでも外れれば候補から除外します。一部だけの充足は観察の区間であり、エントリーのフレームではありません。

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ここに掲載したのは、各人物が公開して記録・説明した手法の構造を教育目的で分解したものです。売買の指示ではなく、過去・特定の市場・特定個人の事例であり一般的な結果ではありません。投資判断と損益はご自身の責任です。